works

– store –

category

planta
はなれの庭

gallery

はなれの庭

徳島市内から那賀川沿いに車を走らせた山あいに「木頭」という地区があり、そのなかの小さな集落にひっそりとある宿の庭。施主と建築家と事前に共有した大きなイメージと道具を持ち、材料は敷地にあるものだけ、身ひとつで向かった現場でした。
土を掘って小さな池をつくり、その掘った土で少しの築山をつくる。ある樹はできるだけ残し、不要な枝葉を剪定する。敷地から大量に出てくる石を並べて人の領域をつくり、それ以外は自然に任せ、ふたつの領域を跨ぐように桟橋を掛ける。こうして文字にするとなんだか哲学的にも聞こえますが、唯々できることをできるだけの庭でした。それでも、迫るような山々があって、緩やかに流れる川があり、夜は真っ暗で美しい星空があるこの場所で、庭に求められることは邪魔をしないことかもしれません。

撮影:下村康典